江戸紫と京紫 [風景・和菓子]
そろそろ紫色の花が多くなってきました。
植物も紫外線の悪影響から自分を守るためなんだそうです。
おばあさんが髪の毛を紫色に染めているのは、紫外線から自分の身を守っているのかも。なら日傘なんかささないで、髪の毛を紫色に染め、顔も紫色にメイクしたらいいかも。人が道を譲ってくれたりするかも。大丈夫、保健所に捕まったりしませんから。
「ムラサキ」という名称は、ムラサキが群生する植物であるため、「群(むら)」+「咲き」と呼ばれるようになったとされる。
昔から、この色は、気品が高く神秘的な色とされ、律令時代の日本などでは、紫は高位を表す色とされ、主に皇族やそれに連なる者にしか使用を許されなかった。
中国も同じ位置づけだったのですが、漢代ぐらいから一番高貴な色は、黄色にかわった。いまでも中国の人は、黄色や金色を好まれるのは、DNAのどこかに高貴な色と刻まれているのかもしれませんね。
日本で紫色は紫草の根(紫根)を使って色を出す。
ローマでは、巻貝の分泌液を使うのだそうです。これが大変少量しかとれない。だから高価→高貴となった。
江戸紫と京紫が違う?
色をご覧になると一目瞭然でしょ。
これだけ違います。
古くからの都である京では「雅 」なものが好まれ、新興都市の江戸では「活気」があるものが好まれました。そういった両都市の性質が紫色の色みにも現れており、江戸紫は青みの紫色で「力強い活気」をあらわすのに対し、京紫は紅みの強い紫色で「優雅さ」をあらわしています。
紫色の生菓子を撮影するのも苦労します。
うまく実物の色が撮影できない。
しかも、撮影している間に生菓子が乾燥して、どんどん色が褪せてくる。
↑紫野源水「花菖蒲」
生菓子の紫は、青っぽい方がいいようです。
赤が強いと美味しそうに見えないように思う。
抹茶の色でも散々苦労しました。
赤が強いと古くなった抹茶の色になります。
かといってあまりグリーンが強いのも安っぽくなる。
紫色も同じ。
↑こういう生菓子の色が難しい
抹茶缶の色は、焼き付け塗装なんですが、印刷し熱で固定させる。熱を加えると色が変化してしまうのです。しかもゴムのパッキンの関係もあるから温度の管理が大変なんです。指示してもそのようにならない。
紫や緑では、苦労しました。
本紙の色校正を何回も何回もチェック。最後は特色を使って・・・書いていてもなんのことかわかりませんよね。(笑)
↑煉切、白小豆こしあん
いまのデザイナーって困ってないのかな?
色校正なんておそらくやれないだろう。
コストが優先するだろうしね。
色の道にゴールはない。なんちゃって。
↑京男の和菓子本が新装版になりました。初版を出版した2013年1月26日時の記事と新装版が出版した2018年1月19日の記事をご覧ください。
(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)
Twitter→@kyo_otoko