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クズマンジュウ考 [和菓子]

昨日、京女とクズマンジュウについて話しあった。
京女の会社の人が京都の人みたいで「水饅頭」と言っていたというのです。
水饅頭?京都市内で?その人って他府県から上洛してきた人かも・・・。でも京都市内でも水饅頭で売っているのかな?
和菓子店って、昔は種類が分かれていました。

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上菓子司、おまん屋さん、お餅屋さん、駄菓子屋さんの四種類です。
◆上菓子司
お茶席や贈答用の上等のお菓子を謹製するのが「上菓子司」と呼ばれる和菓子屋さん。
上生菓子を得意とします。

◆おまん屋さん
ちょっとしたお土産や来客用のお饅頭などを扱うのが「おまん屋さん」(地方でいうと顔をしかめられる場合がありますね)。
おはぎや上用、最中なんかを売ったはります。

◆お餅屋さん
お餅や餅菓子、赤飯などを売っているのが「お餅屋」さん。
おけそく(御華足)さんや豆餅、お赤飯なんかが中心。山菜おこわなんかもうっています。

◆駄菓子屋さん
白いお砂糖を使わないお菓子を作ったり、売ったりしている「駄菓子屋」さん。
べっこう飴やカルメ焼き、黒糖かりんとう、お煎餅、中には安いお好み焼きや冷やし飴なんかも売ったはった。

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今は、おまん屋さんとお餅屋さんの区別が曖昧になってきています。お餅屋さんが激減してきています。東山地区では両方多かったのです。小中学校でも旗日には、紅白饅頭を配られたり、お赤飯を配ったり、何かと商売になっていました。お寺に業務用?のおけそくさんの需要も多かった。
昔の京都市内は、仏壇に「おけそく(御華足)」を供えたり、お正月には鏡餅を飾ったりしていました。年末には、お餅を注文したり、法事には黄白上用、旗日や目出度い時には紅白饅頭を作って親戚や近所に配ったりしたものです。いまは、そういうのが少なくなりました。だから小さなおまん屋さんは無くなって、カフェになったりしています。寂しいことです。
小さなおまん屋さんやお餅屋さんが無くなるということは、人と人の繋がりが薄くなってきたということでしょうね。

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↑千本玉寿軒「苔清水」

タイトルの「クズマンジュウ」は、おまん屋さんで作って売っていたと思う。
夏になるとショウケースに大きな氷に布巾をかけて、並んでいた。水羊羹は氷の上に並んでいたと思う。
だから水饅頭というものはなかった。
高山市(長浜市でも見たかも)の駄菓子屋で売っていた水饅頭は、お店に湧き水があり、その水の中にいれて売っていた。あれを水饅頭と思っています。
あれは、クズ饅頭(葛饅頭)ではないと思う。
葛は、原材料として高価だと思う。あの水饅頭は露草という粉を使うようです。
露草は、澱粉、葛粉、ブドウ糖、寒天、増粘多糖類、乳化剤が原料。一応葛粉と書いてあるけど、殆ど入ってないと思う。
ロバのパンで売っていたわらび餅には、蕨粉なんて入っていないのと同じだと思います。

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↑これは、葛饅頭ではないです。上生菓子になります。

◆葛饅頭
練った葛を茹でて、一口大に分け、中に餡を入れ茶巾絞りのように丸め、冷水で冷やした和菓子。

◆水羊羹
小豆を主体とした餡を寒天で固めた和菓子。
寒天の添加量が少ないので柔らかい。

◆水饅頭
(イナゲル)露草という水饅頭の素を使ったもの。露草は、澱粉、葛粉、ブドウ糖、寒天、増粘多糖類、乳化剤が原料。葛粉は、高価なのでこういう素を使って作るのだと思う。

そういえば「風船羊羹」というのもありましたね。
ゴム風船の中に羊羹が入っていて、爪楊枝でつくと風船が割れて羊羹が飛び出すやつ。駄菓子屋さんで売っていた種類のものですね。

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↑くず、白こしあん

以上クズマンジュウに関する雑談でした。

和菓子

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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/01/22
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(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)

Twitter→@kyo_otoko
タグ:和菓子 京都
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