SSブログ

有為と無為 [風景・和菓子]

DSC01020.JPG

タイトルの単語、聞いたような聞かなかったような・・・。知っているような知らないような単語かもしれませんね。
「有為(うい)」は、いろは歌に出て来ます。
「いろは歌?」という人もおられるかも。

DSC01767.JPG

いろは歌
「色は匂えど散りぬるを(いろはにほへとちりぬるを)
 我が世誰ぞ常ならむ(わかよたれそつねならむ)
 有為の奥山今日越えて(うゐのおくやまけふこえて)
 浅き夢見じ酔いもせず(あさきゆめみしゑひもせす)」
日本語を学ぶ時、昔はこれを習いました。日本語のすべての音が含まれている。
「あいうえお かきくけこ・・・」よりいいと思う。
いまは、ならっているのかな?

DSC09881.JPG

そのいろは歌の三行目に「有為」が出て来ます。
「有為」とは、無限でなく生滅のある、苦しみの世界を表現しています。
「有為の奥山」の奥山は、山の奥の奥・・・つまり潜在的に存在する苦悩。
それを「今日唯今越えていく」救いの世界ですね。
なぜ「有為」になるのか考えた。それは我々の心の奥に漏れなく存在する「我欲(エゴ)」があるが故にですね。
「無為」とは、「有為」と対極にある状態。苦しみや悩みのない状態。

DSC09891.JPG

我々は通常「有為」の状態で生きている。
その状態は、車でいうとガソリンを使って走っている状態。
どんどん人間の役に立つことをする。
でもやがて燃料は無くなってくる。
当然、ガソリンスタンドで給油します。
この時、エンジンを動いたままでは危険です。だからエンジンを切る。
そしてガソリンを補充する。
エンジンを切っているいる状態を「無為」となる。

DSC09896.JPG

人間でいうと燃料は「宇宙エネルギー」というものです。
「有為」の状態で動くとその宇宙エネルギーが減ってくる。減ると気枯れ状態になる。そうなると病気になったり、運が悪くなったりする。
だから、時々「自我(エゴ)」を退散させ、「無為」状態にして宇宙エネルギーを補充する必要がある。
最近、この「有為」と「無為」のバランスを崩している人が多すぎる。

P1290688.JPG
↑紫野源水「菊の香」

だからといって「自我(エゴ)」を無くしなさいとはいいません。すこし休んでもらうということ。もしくは、自分で「いま、私は自我(エゴ)が働き過ぎているなぁ・・・」と自覚する必要があるのです。

P1290711.JPG
↑薯蕷製、小豆こしあん

人は、この「有為」と「無為」のバランスをとることが人生の最大の目的なのかも。
ご褒美に「安心立命」が得られる。
それをなんとか修行や難行苦行をしなくて、果たせたらなぁ・・・。
こんなことを父親に話しておりました。
馬の耳に念仏やけど。
勿体ないので記事にしました。

P1750291.JPG
↑二條若狹屋「山路のつと」

いろは歌の全体の説明を少々追加しておきます。
「色は匂えど散りぬるを 我が世誰ぞ常ならむ」
「色が匂う」とは、花が咲き誇ること。
「散りぬるを」そんな花でも儚く散る。
「我が世誰ぞ常ならむ」人間も盛者必衰、誰も長くは続かない。

P1750308.jpg
↑外郎、こしあん、きざみ栗入

「有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ酔いもせず」
そんな有為奥深い世界を「今日越えて」つまり生きいる間にクリアして。
お金や財産、地位、名誉のような死んで持っていくことができないものでなく、お酒に酔ったり、現実逃避でなく。確かな生きる大満足を得ていこう!
なんて意味かな?
間違っていたらごめんなさい。

和菓子

和菓子

  • 作者: 中村肇
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/01/22
  • メディア: 単行本


↑京男の和菓子本が新装版になりました。初版を出版した2013年1月26日時の記事新装版が出版した2018年1月19日の記事をご覧ください。
(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)

Twitter→@kyo_otoko
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。